ただただ理樹君といちゃいちゃするお話 〜女王猫陥落〜

佐々美 ストーリー

written by ruiford & Kero-P

 

 

 

 

ピピピピピ

 

…ぅん?

不快な電子音が聞こえる

まどろみの中から少しずつ引き上げられる

このぬくもりを手放したくないのですが、こちらの気持ちなど構いなしに音は鳴り続ける

う〜ん…

腕に力を込める

すると少し暖かいものに包まれて音が弱まる

ああ、気持ちいいですわ…

これでまだ眠れそう…

引き上げられた意識はまたまどろみに落ちていく

おやすみなさい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで起こしてくださらなかったのっ!」

「いきなり、理不尽だよ!」

わたくしが目覚めたのはそれから4時間後

つまり完全に遅刻

「はぁ、もうこれじゃ2限も間に合いませんわ…」

わたくしとわたくしの恋人―直枝理樹は高校を卒業後同じ大学に進学した

リトルバスターズの面々はそれぞれの道を歩いている

神北さんと棗さんは保育士を目指し同じ専門学校に

能美さんは大学に受からず浪人して航空の知識の強い大学を目指すらしいですわ

棗先輩は就職

三枝さんはフリーターに

来ヶ谷さんは海外へと

そしてわたくし達と西園さんが同じ大学に進学しました

理樹は眠り病を克服したと言っても後見人が不安に思うのは仕方なく、誰かと一緒に住むことで進学を許した

だからわたくし達は今、同じアパートの一室で共に毎日を過ごしている

いわばそ、その……ど、どど、ど…同棲という奴ですわ…

同じ部屋で暮らすようになって、もう一年

いろいろすれ違いや問題もありましたけど毎日を充実させて過ごしています

「僕は今日授業無いし…」

そうですわ

今日はわたくしだけ授業なので起こしてくださいと頼んだにも関わらず、起こしてくださらなかったせいで遅刻ですわ

「それでも頼んだらいいよって仰ったのに…」

最近覚えたやり方

理樹は怒ってもあまり効果が無い

だから落ち込んでみせると流石に罪悪感がわくのか効果がある

でも、わたくしがまだベッドから出ていないから多分演技だという事はばれてるでしょうけど

だってこのぬくもりが気持ちよくて…

「ごめん」

そっとわたくしの身体が包まれる

ああ、ダメですわ…

彼のそういうところがわたくしをどんどんダメにしていく

堕ちていく

「もっと」

「うん」

ギュッと…ギュゥッと抱き締められるとスイッチが入ってしまう

もう理樹の事しか考えられない

本当はダメなのに

いつまでもこんなことしてたらダメなのに

こんな態度を取ればこうして理樹が甘やかすのに…

わかっていて離れられない

もう完全にわたくしは堕ちてしまった

この方に…

ベッドの中の二人

いつも一緒に寝てるのにまだドキドキする

ベッドに入ると彼のことしか考えられない

「ぅん…」

頬を彼の肩に擦り付ける

もっともっと彼を感じたいから

「今日はどうするの?」

「休みますわ。そんな気分じゃなくなりましたので」

そういうとフッと理樹が笑った気がした

もぅ…

ベッドの上ではいつもわたくしをいぢめるんですから…

「じゃあどうしたい?」

これですわ

どうするじゃなく、どうしたい

わたくしが何をして欲しいのかちゃんと言ってという意思表示

こうなると言うまでしてくれないんですから

羞恥心に耐えながらわたくしはいつも彼の言いなり

「…………このまま、まったりしたいですわ…」

彼に背を向けながらせめてもの抵抗に顔を背ける

無駄だと知っていてもやらなくては気がすまない

彼にいいようにされるのもいいけど少しは抵抗したいですわ

背中に彼の胸があたる

後ろから抱き締められた

 

ちゅ……っ

 

「ひゃあっ!?」

い、いきなりなんてず、ずるいですわ…っ

彼はわたくしのうなじにキスして来た

不意打ちだったからあえぎ声をあげてしまった

「ちょ、ちょっと…っ!」

彼はお構い無しにキスの雨を降らせてくる

うなじに首に鎖骨に…

そして

 

はむ…

 

「はぅっ!?」

耳をあまがみされるとわたくしは弱い

背筋にぞくぞくっと電気が走ったようになる

「あ……あんっ! り、り…き…」

もう、ダメですわ

我慢なんて出来ない

彼が欲しい

彼にキスしてほしい

彼に愛されたい

彼に無茶苦茶にされたい

「佐々美さん、そんな風にされたら我慢できなくなっちゃうよ」

「我慢なんて……あんっ…しなくていいですわ…」

『女王猫も飼われれば、ただ飼い猫か』

誰の言葉だったかその通りだと思う

わたくしは理樹の飼い猫

あの世界で猫として過ごしたわたくし

いつの間にか想いを寄せた殿方に猫のように甘えるようになっていた

手を握られるのが好き

膝の上に座るのが好き

頭を撫でられるのが好き

ギュッと抱き締められるのが好き

もう気付けばこれだけ好きになってる

「可愛いよ、佐々美さん」

「ふぁっ!?」

耳元でささやかれる愛の言葉

麻薬のように脳内を駆け巡り、意識を飛ばしていく

右手はわたくしを抱くようにお腹に

左手は唇の形を確かめるようになぞられる

「ん……」

差し出された指をそっと舐める

本能的に

もう何も考えられない

理樹のことだけを考える

だって…

好きで好きで仕方ないんですから…

 

 

 

 

 

 



……

………

…………

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後

わたくし達はあいも変わらずベッドの上

「…ごめん」

「謝らなくていいですわ、その……き、気持ちよかったですし…」

彼の腕に頭を乗せ、一糸纏わぬ姿で抱き合っていた

「でも、最近ちょっとやりすぎかなーって…」

はぁ、とため息をつきながら自虐する彼はとても可愛らしくて母性本能が疼く

「いいんですの。あなたに愛してもらうのはわたくしの幸せでもあるのですから」

事が終わった後のわたくしは少し素直になれる

この余韻に浸る時間が好きだから

心地よさと快楽とまどろみが同居する時間

そして彼のぬくもりを感じていられるから

そっと頬にキス

わたくしの想いを込めて

「わたくしは貴方の恋人ですわ。殿方はみんなオオカミですもの、それを受け止めるのが恋人のつとめですわ」

「……ありがと、佐々美」

そういいながらおでこにキス

もう…

こういうときは口にして欲しいのに

お返しに胸にキス

すると彼もまた目じりにキスしてくる

わたくしもまた首にキスする

今度は頬にキス

「んー♪」

くすぐったいけど気持ちいい

彼のものにされてる

そう思うだけでぞくぞくする

そして視線が交錯する

お互いが理解して、わたくしは目を閉じる

 

ちゅっ

 

触れるだけのキス

それでもやっぱり唇を重ねるのが一番心に響く

もっと、欲しい

無意識にわたくしは理樹の首筋に手を回し、ぐっと引き寄せる

すると自然にもう一度重なる

ああ…わたくしは本当に彼の事が好きなんだ

好き過ぎておかしくなってしまうくらい好きなんですわ

「……ん…んむ…は………はぁ…」

もう戻れない

あの頃に

でも、今の関係が心地よすぎる

戻りたくない

「理樹」

「なに?」

「名前」

「佐々美」

「理樹♪」

「佐々美」

彼に名前を呼んでいただくだけで身体が震える

指と指を絡めて、足もしっかり絡める

二人っきりの時だけ見せるわたくしの顔

付き合いだしてわかった意外とあまえたがりなわたくし

それを受け止めてくれる彼

片手をお互いに握り、もう片手はわたくしの頭の下に

繋がっている幸せ

ぬくもり

匂い

全てがわたくしを支配する

「佐々美はかわいいな」

「理樹もかわいいですわよ♪」

「それは酷いよ…」

落ち込む彼も可愛い

かっこいいところもあれば可愛いところもある

日に日に彼の新しい顔を見つけていく

それが楽しい

毎日いちゃいちゃしてると西園さんに言われましたが、それでもいいですわ

バカップルと呼ばれようと、わたくしは彼の猫になってしまったんですから

「よしよし♪」

彼の頭を撫でながら思う

いつまでもこんな二人でいられたら…

そう、思う

きっといつか夢を諦めざるを得ないときが来ても彼が居ればきっと大丈夫

わたくしは強くいられる

彼が迷いそうになったらわたくしが手を引っ張りますわ

だからこのぬくもりを離さないで

わたくしは共に歩いて行く決意をしたんですから

「理樹…」

「なに?」

この笑顔を見続けたい

一番傍で

「愛してますわ」

真っ直ぐな言葉をやっと紡げた

素直になれればこんなに幸せなんですわ

付き合ってもう何年も経つのに今頃気付けた

でも、まだ遅くない

「僕も」

幸せは与えられるものじゃない

強さも与えられるものじゃない

全ては自ら乗り越えて手に入れていくものですわ

彼は守る為の強さを

わたくしは支える為の強さを

そして二人は愛し合う幸せを

ずっと探し続けていくんですわ

「理樹」

「ん? 今度は何?」

だから、今日は…

「もう一回、しませんこと?」

もっともっと愛してもらう事にしますわ♪

 

 

 

〜Fin〜



 拍手しちゃう!     俺は掲示板派だ!     いやこっそりメールでしょ




お祭り会場に戻る